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小幌駅、ぜんぜん秘境駅じゃない

小幌駅に行ってきた

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小幌駅というのは、日本一の秘境駅として知られているJR北海道室蘭本線の駅である。

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駅はご覧の通り、トンネルに挟まれた山と山のスキマの部分に位置している。三方を山、一方は海に面しており、道路も通っておらず、鉄道以外での到達は困難となっている。

私の後ろにはバイオトイレと草むらがある。
草むらをかきわけると小さな道があり、その道を進むと海岸に出ることができる。

当然ながら、それ以外には何もない駅だ。
何もないと言いたいのだが、とにかく人が多くて何もないとは到底言い難い。

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人が多い。

めちゃくちゃ人がいる。30人くらいはいたと思う。
私は同族嫌悪の傾向があるため、同じ種族の人間の集団がいるとなぜか気分が優れなくなる。
小幌駅に着くまでに私が感じた絶望は後に書く。

本来は動画を撮ってYouTubeのネタにしようと思ったのだが、人が多いのと単純にめんどくさいのでやめた。
ただ深堀るとおもしろい駅ではある。そもそもなんでこんなところに駅があるのかというと、もともと信号場だったものが仮乗降場から駅に昇格したかららしい。
そのあたりの紆余曲折については、詳しく解説してくださっている方がいたのでリンクをペタさせてもらう。

ameblo.jp

 

小幌駅に到着するまで

小幌駅に行くためには、普通列車に乗る必要がある。一部の普通列車小幌駅を通過するので、列車は限定される。東室蘭13時57分発の長万部行きの普通列車に乗る。
1両編成なのだが結構混んでいる。

立ち客が出るほどの込みよう。そしてみんな大きい荷物を持って、メガネをかけている。
なんか嫌な予感がした。

最初の主要駅、伊達紋別に着いても人は減らない。嫌な予感はますます高まっていく。
次の主要駅、同時に最後の主要駅、洞爺でも人は減らない。
嫌な予感は確信に変わる。

そして嫌な予感は、完全に的中した。
列車に乗っていた彼らの7割は、小幌駅が目当ての同業者であった。
その数は30名ほどだろうか。

考えていることはみんな一緒だった。
東室蘭13時57分発の普通列車長万部行きは、日中の時間帯で唯一、いい感じな滞在時間(50分ほど)で小幌駅を訪問できる列車であった。
私は彼らと同じことを考えた自分を心から軽蔑した。

私は降りる大きいお友達の列に並びながら、本当に一瞬、降りるのをやめようかと思った。
またどうせ北海道には来るし、そのときにリベンジすればよいと思った。
しかし今日の行程のメインディッシュは小幌駅であり、これをスキップすると、今日一日が8割無駄になってしまう。
そのような損得の計算を2秒行ったのち、私は彼らに続いて小幌駅のホームに降り立った。

秘境駅に似つかわしくない、大きなお友達がぞろぞろとホームに降りて写真を撮り始める。
その中の一人に自分がいることがひどく不快だった。修学旅行を思い出す。
はやく集団から逃れるべく、早歩きで草むらへ足を進めた。

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小道はこのように途中で分岐していた。可及的速やかにどちらかに進みたかったので、「洞窟」とあっておもしろそうな左側の道を選んだ。
これが冒険の始まりだとは、知る由もなく。

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道は想像以上に過酷なものだった。てっきり5分くらいでいけるのかなと思ったら、普通に20分くらい山を上ったり下りたりする羽目になった。しかもその道も狭く、下は崖。落ちたら命を落とすことはないまでも、結構めんどくさいことになるだろう。
あと山の中なのでヒルが怖い。

結構マジで「あーこれ滑って落ちたら普通に助からないなー。」と思いながら道を突き進んだ。多くの人が往来しているようで、道自体は踏みしめられてしっかりと存在していたが、オタクたちはよくこんな道を歩こうと思うものだ。ちなみに電波は通らず、圏外である。新発売のiPhone14なら圏外でも衛星通信できるらしいけど、まだ日本では使えないみたいだね。

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山道を歩きまくると、小幌洞窟とよばれる小さな洞窟のある小さな海岸に出ることができる。

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洞窟の中には岩屋観音といって観音様が祀られているが、正直疲れてしまって観音様はフル無視して帰路についてしまった。

小幌駅には50分滞在の予定だったが、冒険を終えて駅に戻ると残り10分となっていた。
若くなければ、普通に乗り遅れてしまうと思う。乗り遅れたら次の列車は数時間後になる。

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狭いホームに、似つかわしくない人間の数。
秘境駅感を味わうなら、早朝か深夜か、あるいは真冬に行くしかないだろう。
マムシの心配もないので、真冬がベストシーズンだと思う。

気が向いたらまた行きたい。今度は、同好の士たちと一緒に気が向くことのないように注意したいと思う。