ひとばん寝かせたカレーはとてもおいしい

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アビリティ

とうとう自分の将来について本気で考えなければならない時期になってきた。

めんどくさい。

就活するのか。院進するのか。どちらを選ぶにせよどこに行くのか具体的に決めて、必要な準備をしなければならない。

私はかねてから大学院に行きたいと思っていたので、そこで迷うことはないのだが、問題はどこの院に進学するかということである。

興味のある分野、または行きたい学校が絞られていればよいのだが、私は幸か不幸か興味の幅が広くて、研究したい分野が一つに決められない。ずっとうっすら興味のある天文学。仕事柄興味が出てきた言語学。そしてAIが何を考えているのかも気になる。ここら辺は発展途上・学際的で文理もはっきりしていないので何をやればいいのかもわからない。

そして学校も特にここに行きたい!とかはなくて図書館と何ができるかが大事なので一向に決まらない。諸般の事由により早稲田大や東京都立大が気になっている。あでもうちの小金井図書館がシン・トショカンとして中庭に建て替わるのを来年夏までに発表してくれるなら小金井工科大学に残留したい。何回も言ってるけどわたし法政大学大好きなので

で、理系の外部院に進むのはアビリティ的にややハードだと感じる。アビリティというのは生来的な特性のこととここでは定義したい。そもそも私は天文学や宇宙に昔から興味があるが、別にそこまでではない。ただライトに好きなだけで、別にオタクではない。そして天文学で多用することになる数学や理科も得意ではない。

私がたとえば東大の理学部に入ろうとして入学試験を受ける場合、そこでは宇宙オタクかつ数学や理科が得意な人間と戦って勝つ必要がある。他人と競う必要はないが、入試ばかりはそういうところであるから、仕方ない。勝つ必要がある。天才たちに。

そうなったら私はなにひとつとして勝てるところがない。これでさらにたとえば、私が生粋の宇宙オタクで天文学に強烈な関心があるのであれば、その圧倒的熱量をもって、多少数学や理科が苦手でも太刀打ちできるだろうが、私にはそれすらない。残念ながら、恵まれなかった私はここを諦めるのが賢明であろう。才能がなかった。才能というのは、生まれ持っているアビリティと一緒に、何に関心を持っているかがあると思う。そこは努力では本当にどうすることもできないからだ。

しかも、東工大の院試問題(地球物理科学系?確か)を見てみたら、これが本当にやばい。数学、物理、化学、地学、生物、すべてを高いレベルでマスターしていなければ解けない問題。これは本当に、①もともと分野に関心があり、②そして理系が得意な下地のある人間が、③高校までで習う範囲を完璧に押さえて、④学部4年間できっちり勉強して専門知識を身につけ、⑤そのうえで対策しないと 解けない問題だと思う。こんな問題をスラスラ解いてしまう人たちに、基本的な微積分だけでドキドキ恋の予感、胸の鼓動が止まらない私が挑もうなど、身の程知らずもいいところである。

しかし私は私で、他の人があまり持っていないアビリティを持っていることが最近になって判明した。

それは日本語運用能力、つまり国語である。私は人より早く正確に注文通りの文章を書いたり読んだりすることができるようだ。私は今まで、日本人なんだから日本語が読めたり書けたりするのは当たり前ではないかと思っていたが、どうやらそうではないらしい。みんな日本語を読んだり書いたりすることになかなか苦戦している様子である。私は日本語をただ読み書きするだけでお金をもらっているので、これは私の中で裏付けられている。

おそらく、数強と呼ばれる人たちは数弱に対し、このような感覚なのだろう。(いや計算するだけでしょ)(かんたんでしょ)(うわこいつなんでこんな簡単な計算もできないの?)(ばかなの?)こう思っているに違いない。しかし私も、計算=読み/書きと置き換えて、このような考えが頭をよぎることはたまにある。だって文章って本当に書くだけでしょ。文字並べるだけでしょ。計算みたいに手も足も出ないことってないでしょ。なんでこの人こんな簡単な文章も読めないのかな。みたいな。でもできない人は本当にできない。私が数弱なのと同じで、それは仕方ないことだ。そういう人もいる。で、そういう人は多い。

ということで、私は理数系のアビリティと関心には残念ながら恵まれなかったものの、幸運なことに国語アビリティに恵まれた。この貴重なアビリティを活用することで、私は人文系大学院を受験する同じような天才たちと同じ土俵に立つことはかろうじてできる(だろう)。だがここまで書いても、図書館に行くとつい寄ってしまうのは宇宙科学のコーナー。あ〜修論書くためにここにあるような本読めるなんていいわね〜と思いながら系外惑星の本がズラッと並んだ開架を眺める。才能ある人間が羨ましい。今日も一日進捗0。人生は茶番や。