AirPods Proがなんでそんなに評価されてるのかわかった。
買ったんですよ。AirPods Pro。
なぜこのタイミングなのかといえば、
こいつが発表されたから。てかWF-1000XM4、やばくね!?私の言ってたXM3の胸糞ポイントが、軒並み改善されてるじゃん。これこれ。これなんですよ。
こういう魅力的なヤツが出ると、自分のオーディオパーティを見直してしまうきっかけになってしまうんだよね。見直さなければ新しく売り買いすることもないのに。
それで、AirPods Proがそろそろ発売から2年になるし、もう手に入れ時かなと思ってしまったと、こういうわけです。
AirPods Proの詳細なレビューは他に山ほど記事があるのでやりませんが、彼は確かにすごいイヤホンだった。
というのを、ちょいちょいと語っていこうかなと思います。
ノイキャンも音も、そうでもない
AirPods Proは、ノイキャンも音も、特筆に値するほどすごいわけではありません。
ノイキャンは普通のノイキャンだし、音も普通。ただし、ここでの「普通」とは、「クセがない、万人受けする性質」という意味です。
音は普通にいい音だし、ノイキャンは普通に業界最高水準といった、そんな感じ。
ノイキャンに関しては、インターネッツの皆さんがそこまで絶賛するもんだから、救急車のサイレンまで聞こえなくなるのではないかと期待していましたが、流石にそこまでではありませんでした。救急車のサイレンも聞こえるし、いまこうしてタイピングしているキーボードのタイピングノイズも聞こえます。
まだ技術的にすべてのノイズを消すことは不可能なので、これは仕方のないことです。音楽を流してしまえば何も聞こえなくなります。
正直なところ、この音とノイキャン性能のワイヤレスイヤホンを他社が出しても、ここまでの人気にはならないでしょう。Appleが開発・販売している純正のアクセサリだというのも当然ありますが、高い評価とシェアにはもっと大きな理由があるはずです。
耳に入れるまでの体験
では、その理由とは一体なんでしょうか。
私の考えるその理由は、「デザインされたリスニング体験」です。
AirPods Proをケースから出す操作、耳に入れる操作、耳に入れた後の操作。
AirPods Proをケースから出す体験、耳に入れる体験、耳に入れた後の体験。
その全てが、一貫してデザインされているのです。
まずケース。
AirPodsの時もそうでしたが、カチッという締まりのいいケース。
入れやすく、出しやすい本体とケースの調和性。
シンプルなことですが、ここがまずできていないプロダクトは非常に多いです。
本体の形(耳からうどん)に関しては、私はまだダサいと思うので許していないのですが、有線イヤホンEarPodsの線だけを切り取ったデザインと考えれば、まぁストーリー的にはアリかもしれない。耳への入れやすさや収まりという面では、優れた形をしていると思います。それにしても他に何とかならなかったのかとは思うけど。
そして耳に入れる。
他のモデルのように、グリグリっとねじ込む必要がない。そっと耳に置くだけでなぜか自然にフィットする。
そしてお馴染みの「ブォン」という起動音とともに、ノイズがサーッと消えていく。
これがすごい。これが今までになかった。
今までは、ねじ込まなきゃいけなかった。
今までは、ノイキャンのON OFFは、スイッチをパチパチと切り替えている感じで、連続性がなかった。
この「魅せ方」というか。
別に大したことはしていないのに、大したことに見せる力というか。→これはノイキャン
逆に、大したことをしているのに、大したことじゃなく見せる力というか。→これは本体の形状
そういうのがAppleにはあるよね。
Appleあんまり好きじゃないけど、この点は認めざるを得ません。
ていうか、一々ねじ込まなくてもいいのが本当に便利すぎる。
イヤホンを耳にねじ込む動作って確かに面倒だったなと。
ねじ込んでないのに、そこそこ密閉されるのがすごい。
もっと密閉性・遮音性が欲しければ、イヤーピースを変えてもいいかも。
耳に入れた後の体験
前述の通りノイキャンそのものと、音質に関してはさして驚くところはありません。
いやでも音は普通にめちゃくちゃいいけどね(普通にめちゃくちゃいいって何だ)
Apple純正だけあって、Apple製品とのシームレスな連携が大きな魅力の一つです。
爆速接続。安定接続。
同じApple IDの端末同士であれば、Bluetooth設定を一々変更しなくても、音を再生している端末に自動的に接続してくれます。
タッチセンサーの触覚反応。タップティックエンジンとかいうらしいですが。
それからノイキャンと外音取り込みの切り替えが手軽。音楽が途切れずスムーズに切り替わる。
特に外音取り込みは、評判通りすごいです。耳が拡張されたような感じ。
普段の生活に、そっくりそのままBGMが加わったような。
(でも外音欲しいなら、普通のAirPodsでよくないか?w)
細かい部分の使い勝手が作り込まれていて、使っていて非常に快適です。
それから先日追加された空間オーディオ機能。
Apple TVで聞いてみましたが、これはすごい。やばい。
もう完全に映画館だよ。
しかしながら、Apple TVは見たいコンテンツがほとんどないので、残念ながら使うことはあまりなさそうです。
今後映像配信サービスが空間オーディオに対応したら面白いかも。
体験がデザインされている
とこんな感じで、イヤホン自体のカタログスペック自体は本当に突出したものはないのですが、
その使い勝手にかかわる要素一つ一つが作り込まれていて、とても使いやすく馴染むイヤホンに仕上がっています。
今日初めて使ったのに、まるで1年前から使っていたかのような感覚。
これは、AirPods Proを使って行う全体的な「リスニング体験」が、ハード面もソフト面も、一貫して両方デザインされているからだと思います。
イヤホンをケースから出して、耳につけて、音を聴くまでの一連の流れが、途切れることなくデザインされているのです。
一つ一つの要素は大したことないんだけど、それらが高い次元でまとまっていて、あたかもそれらそれぞれの要素がトップレベルかのような錯覚をしてしまう。
Appleは技術ではなく、体験を売っているんですよね。
だから圧倒的に使いやすくて、快適で、高い評価を得ているのではないかと。
評価が高いということは、さまざまな他のワイヤレスイヤホンと比較される機会が多いということですが、私は、AirPods Proと他のワイヤレスイヤホンを比較するのは、買って試してみて野暮だと思いました。
だって、そもそもの土俵が違うんだから。
音質を追求したイヤホンでもなく、遮音性や付け心地を追求したイヤホンでもなく、性能を追求したイヤホンでもない。
iOSデバイスとシームレスにつながる、Apple純正オーディオアクセサリ。それがAirPods Proだったという、ただそれだけのことだったのです。
iPhoneユーザーにとって、現状AirPods Proより強いオーディオアクセサリ、いや、イヤホンは存在しなかったのです。
使いやすいから、手放せない
畢竟、周りのモノというのは使いやすいモノに落ち着いていくのでしょう。気付いたら、AirPods、Beats Flex、Airpods Proと、周りのイヤホンもApple製品になっていました。
私はイヤホンをよく買っては売却するのですが、AirPods とBeats Flexに関しては、手放そうと思ったことはありません。理由は簡単で、よく使っているからです。よく使っているということは使いやすいということです。今度からは、AirPods Proがその仲間に加わることになるでしょう。
もう音質がどうとかじゃないんだよねイヤホンって。だって音質なんて相対比較の評価でしかないし。いちばんいい音質は、もちろん自分の耳から直接生歌を聴くことなんだけど、我々は「音質のいいイヤホン」に、それ以上を求めていないかと。
原音に忠実に(=至極普通に)音楽を聴けるイヤホンが、実は一番オリジナルの音楽に近いのではないかと。
クセがない、いわゆる「普通」って、あまり評価されないがちだけど、本来「普通」であることって、一番評価されるべきなんじゃないかな。
AirPods Proを今後も使い込んでいって、よりその便利さ、普通さを実感すれば、もうこれ以上高いイヤホンを買わなくて済むようになるかなと少し期待しています。
そんなところでこの記事はおしまいです。