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ココが違うよ新解釈・三國志(実際はこう)

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「新解釈・三國志」が公開されたというので、早速観てきました。

公開初日でしたが席の埋まり具合は2割程度。平日だからでしょうか?

ここでは感想を置きつつ、実際の三国志の物語との相違点などを解説していこうと思います。(ネタバレ注意)

ネタバレ注意って言っても三国志って歴史モノなので、ネタ知ってた方が楽しめると思います。

ちなみに私の三国志愛好程度は横山三国志と吉川三国志をそれぞれ2周する程度なので、ライトです。

原典の「三国志演義」を読もうと思ったこともありますが、字が小さいのと文体が古文調だったので断念した記憶が残っています。

 

総評

おもしろかった

かなり脚色されていますが、大筋は三国志のお話でした。三国志を知らなくても楽しめる構成にはなっていたと思います。

ところどころ地図を見せてくれたり、大まかな解説が入ったりしました。

取り上げられたのは「桃園の誓い」・「黄巾の乱」のさわり・「虎牢関の戦い」・「美女連環の計」・「三顧の礼」・「長坂坡の戦い」・「赤壁の戦い」でした。

三国志の最後(司馬炎が晋として天下統一するところ)まで一応は走るかと思っていましたが、映画のお話は赤壁で終わって、「まだまだ物語は続くので、興味のある人は読んでみてね」って感じの締めでした。

厳密には赤壁までの時点ではぜんぜん三国じゃないんですが、そこは目をつむりましょう。。

 

桃園の誓い

ここは特に言うことはありません。

ちゃんとお約束のフレーズを言ってくれたのは良かったです。

 

黄巾の乱(のさわり)

黄巾の乱の最初だけは描写がありました。確かに劉備御一行の初仕事は黄巾の乱の鎮圧なのでこれははずせなかったのかも。

黄巾の乱の本当の主人公、張角は出てきませんでした。

 

虎牢関の戦い

董卓連合軍のところ。

なんか呂布が出てきて、関羽張飛と一戦交えるだけでした。

ここで曹操夏侯惇がはじめて出てきました。

夏侯惇は初めから隻眼(片目を失っている状態)でした。虎牢関の戦いは190年、夏侯惇が左目を失ったのは194年とのことなので、ここは脚色が入っています。

あと劇中では劉備がサボっているということになっていましたが、あれは本当なんでしょうか?ちょっと調べた感じでは劉備も普通にいたっぽいけど。

めんどくさがりな劇中の劉備の性格は、ある程度ホントのような気がします。

まぁ「新解釈」三国志なので、少しくらい嘘が入っていてもいいか。

三国志演義では関羽華雄の首を酒が温いうちに獲ってくる(猛将である華雄を秒で討ち取ってきてしまった)というエピソードがあるのですが、そういうことは特にありませんでした。

それから呂布が持っていた武器が「方天画戟」なのかはオタクではないのでわかりませんでした。

袁紹(えんしょう)と公孫瓚(こうそんさん)は名前すら出てこなかったので、ちょっとかわいそう。

 

美女連環の計

呂布董卓貂蝉のハニートラップにやられるところ。

ここは大分脚色が入っていて、三国志をちょっと知ってる人なら、「???」となるところかも。

劇中では劉備が美女連環の計を思いついたら、なぜか趙雲貂蝉を連れてきて、劉備御一行が董卓のもとに貂蝉を差し向けることになっていましたが、これやったのって本当は全部王允(おういん)だよね。

劇中では趙雲が鼻につく残念イケメンな役柄となっているので、それに重ねたかったのかも。

てか趙雲はここではまだ出てこないはず。関羽が魏に降伏したあたりじゃなかったっけ。

あと最後は貂蝉呂布に斬られて終わるのですが、貂蝉って確か自害したんだったよね。

貂蝉が化けの皮を剥ぐ(物理)など、ここら辺は脚色入ってるのが一応わかりやすくはなっています。

佐藤二朗さんの董卓渡辺直美さんの貂蝉城田優さん(この人は知らない)の呂布と、キャスティングが面白めだったので、そこは良かったです。

ちなみに「王允」、「美女連環の計」はワードすら出てきませんでした。かわいそう。

 

三顧の礼

諸葛亮を仲間にするところ。

三国志演義では、司馬徽(しばき)というおじいさんが諸葛亮がどこにいるのかとか、いろんなことをアドバイスしてくるのですが残念ながら出てきませんでした。

三顧の礼」なのに諸葛亮1回で出てきちゃった。

多分三国志を知っている方なら、最初に諸葛亮が登場したとき(諸葛均が出てきた!)と思ったのではないでしょうか。

ムロツヨシさんの諸葛亮、面白かったです。

劇中では劉備が帰りたがるのを関羽張飛が諫める感じになっていましたが、実際は逆です。劉備が一番諸葛亮を仲間にしたくて頑張っていたイメージ。

あと張飛ちょっと柔らかすぎじゃないかな?確か諸葛亮宅に放火しようとしてたよね。

「漢の左将軍、宜城亭侯、領は豫州の牧、新野の皇叔、劉玄徳が来たと伝えてくれぬか」「そんなに長いの覚えられないよ」のくだりはありませんでした。(わかる人にはわかる)

 

長坂坡の戦い

趙雲が阿斗を助けるところ。

糜夫人、「阿斗を頼みました」みたいなことも言わず、めちゃめちゃ進んで井戸に投身しましたね。もうちょっと粘れよ。

本当はこの後、趙雲が阿斗を抱えながら、片手で戦場を蹂躙して劉備のもとに帰る、という趙雲のスーパーエピソードがあるのですが、その描写はありませんでした。

その後劉備が阿斗をポイして、趙雲をねぎらうというシーンもありませんでした。

それと張飛が橋の上で「我が張飛翼徳なり、死にたい奴はかかってこい!!」と怒鳴り、曹軍50万を震え上がらせて退却させたという私が三国志で一番好きな超カッコいいエピソードもありませんでした。

長坂坡は個人的に三国志で一番好きなところなので、薄味でちょっと残念でした。

 

赤壁の戦い

黄蓋、何した???

黄蓋をやっている人が若かったので、絶対に苦肉計のムチ打ちが見られるなと思っていたのですが、そんな空気すらありませんでした。赤壁黄蓋出しておいて苦肉計しないんかい(笑)

苦肉計とは「苦肉の策」の語源になったエピソードで、呉軍の中にいるスパイを騙すために、おじいちゃんである黄蓋がひどいムチ打ち刑を自ら進んで受け、味方までもを騙しながら曹操に偽りの降伏をして、曹操軍を中からかき乱して勝利したという計略です。

赤壁の戦いでの呉軍の勝利は黄蓋の苦肉計のお陰といっても過言ではないのですが、劇中の黄蓋周瑜の側近にいるだけで、武将としては何もしていませんでした。

黄蓋、呉への忠義がすごい名将でとてもかっこいいのですが、残念。

それと諸葛亮が矢を10万本作れと周瑜に言われたところ。

劇中の諸葛亮はちょっとおバカキャラで、何一つ自分で考えていない感じだったのですが、本当のところは藁で船を作って曹操軍に突撃して、矢を浴びて帰ってくればハイ矢10万本!というのを涼しい顔してやってた記憶。

これ、草船借箭の計(そうせんしゃくせんのけい)っていう名前があります。多分ちゃんと諸葛亮が考えた計略です。

本当のところはわからないけど、本当は黄夫人(月英)の入れ知恵があったのかな?もしかしたらあったかもしれないですね。黄夫人も相当頭の切れる人だったらしいし。

東南の風を吹かせるくだりでは、いかにも「運で吹いた」みたいな感じになっていましたが、実際には諸葛亮があそこら辺の地学や気象を前から調査していたから、当日に東南の風が吹くことを知っていました。

頭の切れる諸葛亮は、当日に東南の風が吹くことは知っていたんだけど、あえて祭壇でお祈りをするという儀式をかますことで、あたかも自分が天を操って東南の風を呼び寄せたみたいにして、諸葛亮スゲー!な雰囲気を作ったんだったよね。(確か)

黄夫人は無駄に橋本環奈だった。芸能人あまり知らないですが流石にハシカンはわかりました。個人的には黄夫人よりも貂蝉(第Ⅱ形態)のほうがよかったんじゃ?

あと赤壁では「伏龍」諸葛亮ともう一人、「鳳雛」の龐統ほうとう)が「連環の計」を使って曹操軍の船を鎖で結んでしまったりと暗躍するのですが、そこまで登場させる余裕はないようでした。

それからなんか牛肉の脂を川に流して燃えやすくしようぜ!みたいなくだりがあったが、あれは初めて聞きました。本当なんでしょうか?連環の計のオマージュでしょうか。

そんな感じです。

 

感想

おもしろかった

ところどころ脚色が入っているし、武将をカッコよく見せるのに振っている感じもないので、純粋にコメディーとして見るのがいいかも。

私は楽しめました。

三国志、もっと面白いエピソードがいっぱいあるので、興味を持った人は是非本で読んでみることをおすすめします。

横山三国志のマンガが一番とっつきやすいと思いますが、全60巻あって超長いので、大まかに三国志を把握したいという方は「超意訳 三国志」がおすすめです。

この本、昔「蒼の三国志」という三国志ゲームをやっていたときに、連合(ギルド?)のメンバーの人から教えてもらいました。私が三国志を好きになったのはこのゲームがきっかけです。

 

イマ風な語り口で書いてあるので面白くて読みやすくなっています。初心者はもちろんそうだけどすべての三国志好きにおすすめの一冊です。